速報性の低いこのブログ、そのうち紙媒体みたいに数ヶ月前のことを書き出すやもしれませぬが、これは一週間前の内容です。
千葉のお客さんから依頼があり、骨董ジープの出張査定に出かけました。ところが日取りがまずかった(私が指定したのですが)。
この日は春一番がビュービューと吹いており、各地で交通が麻痺。なので、13時の約束なのに8時には御殿場インターを通過、JB23Wで横風に煽られながら80km/h以下で左車線巡行です。
ここ数年、江戸や江戸の向こうには公共交通機関を使って出かけるようにしていますが、工具やバッテリーといった道具類を持参する必要があったんです。
交通情報ではアクアラインは通行止め、レインボーブリッジもダメ。その影響か都内中央突破は完全に糞詰まり。しかたなく横浜で降りて保土ヶ谷バイパス~湾岸線を行きます。
こちらも混んでいてノロノロですが、速度を出したくないベイブリッジ付近だけがスムーズ。年々悪化する高所恐怖症にとって最難関の高所走行を突風の中で行わねばならぬとは、渋滞回避のルート取りを呪いました。手に汗握りながら、なんとか意識を失わず、後続車を連ねながら65km/hで突破。それ以上踏めません。景色なんて見えなくて良いから、全面防音壁で目隠ししてほしいと思いました。
ベイブリッジを渡り終えたところ。羽田行きの東急リムジンを、やはり羽田行きの京急リムジンが抜く場面。京急はハザードで挨拶、なんだかカッコ良かったな。
しかし世の中の運転者は、よくこんな強風の中をぶっ飛ばすもんだ。乗用車ってすごいなぁ。タクシーっぽいY31あたりだったら素敵と思いますが、私の場合いつぞやの話みたいなビジネスバンでしょうか。高速長距離巡行を安心してこなせる車が一台あるといいなと、年に5~6回ほど本気で思います。
ここから先は延々大渋滞。羽田に行く人たちはフライトに間に合ったんでしょうか?この天候じゃヒコーキも飛べないか。
結局、目的地までは4時間半かかりました。早発大正解。
件の骨董ジープは昭和42年式のJ20でした。あと半年早ければ、キュリアスVol.12のJ20C特集がJ20特集になっていたでしょう。
工具類の持参は1年ほど掛けていないということで、陸送屋さんに頼む前に動くようにしておかねばならないため。
恍惚と書いてウットリ、この美しさよ。
消防出身で元からボロボロではありませんでしたが、5~6年前にかまど社のレストア工房で大掛かりな修理をしています。以来、カバーをかけて保管。その状態は、ただひたすらに素晴らしい。
バッテリーを交換し、キャブレターに直接滴下したらJH4はスムーズに目覚めました。
……が、すぐに止まる。スポイトを用いてフロート室を満たしますと、それが空になるまでガオ~ンとハリケーンサウンドを奏で、やはり止まる。ガス欠かと思いジェリ缶でガソリン買ってきてもダメ。
どうやら燃料ポンプのダイヤフラムが破れているようです。
そこでオーナー氏が予備のポンプを出してきましたが、これもダメ。
経験豊富なオーナー氏との話で意見が一致したのは、ポンプ内がドライなまま放っておいたらダイヤフラムがダメになりやすいということ。私も過去に同じ体験をしています。ゴムに油は相性が悪いと思いきや、ガソリンで濡れていることで素材が保護されるような気がします。
2時間ほど試行錯誤し、潔く諦めて正常なポンプを後日郵送して、交換してもらうことにしました。
一息ついて、しばしジープ談義。
「やっぱり民生仕様はいいですなぁ」という流れの中で、コレクションのJ30マーカーを当てがったり。
帰り際「ちょっと見て行きませんか?」と案内された先にあったのは、オーナー氏の普段乗り車GS130Gでした。
「あ~、これ好きなやつだ~!」
ちょうど馴染みの某氏が欲しいというので研究しているうち、私もすっかりハマりそうになっていたのです。
ワゴンのコラムMT(ODならぬOT4速)はおそろしく稀少です。たまらんです。でもFR車は積雪山岳路の通勤に不向きなので、私の場合ADバンなどFFのエコノミークラスしか選べないのです。
近所を一回り乗せていただき、夢心地。気分はタクシーです。
帰りも大渋滞。衝動的に果物が食べたくなり、道端のスーパーで三ケ日みかんを購入。
助手席に10玉ほど並べ、モグモグしながらの微速前進でした。千葉に来て静岡産の果物を買って帰るとは。
路線バスの色は地域の色。見慣れぬカラーリングで見知らぬ土地へ来たことを実感します。
古バス発生確率が限りなくゼロと思われましたので、この駅前は滞在10分でドロンでした。
小湊鉄道のイメージって富士重7Eだったのにな~。
2日後、手持ちのJH4用ポンプを開けてみると、やはりダイヤフラムが乾いてガビガビで亀裂が入っていました。
耐油コーキングでも塗れば、まだ使えそうですが、あの極上J20にやっつけ修理はふさわしくない。
ならば「捨て損ない隠匿物・故障した電磁ポンプ」の点検に着手。
電気を繋いでも、ウンともスンとも言わないガラクタですが、なぜか取っておいたのです。
大して期待もせずに開けてみます。ピコピコ部分のクロームメッキが眩しい。
さらに分解を進めますと。
おびただしい量の錆粉が。
なんの車についていたかも忘れましたが、燃料タンク内は酷いことになっていたのでしょう。
ま、古い車にありがちなことですがね。
ただ組み直しても、やはり動きません。よく見るとピコピコを駆動する軸が僅かに曲がっていたので修正。ジジジジと動き出しました。そして試運転(試し汲み)の図。あたりはガソリン臭くて危険。
こちらは念には念を入れて、ジープスパローさんに注文しておいた米国製のリプロ品。MBやCJ3B用として売られています。
ハンドプライミングレバーがないのと、出入口の角度が違うだけで、まったく問題なさそうです。
この新品と、先ほどの復活電磁ポンプを梱包してJ20オーナーさんに郵送。さて、陸送の段取りにこぎ着けるでしょうか?