10:00、富士山駅から山中湖平野行きの出発と同時に、ようやく情報解禁です。
当編集室・当ガレージの本体は整備工場でありスズキ販売店であることに加え、周囲に事情通もおられるので情報は入ってきてしまうわけで、口が、もといキーボードが滑りそうになることも何度か。
でも情報リークさせた場合の恐ろしさについても各方面から聞いていましたので、グッと我慢でありました。
販売店向けの事前発表会へは足を運んでおりませんので、今のところカマド社で実車を見たのはジムニー部門の親玉(でも今は新車部門の部長なんだって)山口君だけです。ということで部長どんからの聞き伝えも織り交ぜてお伝えします。なお、型番は意外や意外の60番台を付与された模様。
広い層のユーザーに向けた市販車としては信じられないほど「特定のジムニー乗り」を意識した部分が多くて、少々驚いています。とんがったもの、本物が受け入れられるという、最大手メーカーさんたちが気付いていないことを、ついにスズキが実践しているのでしょうか。
カマド社では、発売翌日には乗れるよう複数の車両を手配済みだそう。
当然、次号キュリアスでも触れることになります。創刊14号目にして初めての新車紹介に緊張します。
いずれにせよ、良い部分も悪い部分もじっくり乗ってからあれこれ論じてみたいと思います。無闇な賛美も一方的な難癖も好みません。
ということで今回のブログに限っては知り得る範囲の「良いところだけ」を並べますけれど、世間一般にそれが「良いところ」なのかは?
【雨樋復活】
ホント、私としてはこれなんです。
最初に資料を見て「へぇ~XCでもルーフレール無いんだ」とつぶやいてしまって「よく見てよ」と指摘されました。ルーフドリップ、いいねぇ。
【荷室鉄板むき出し】
プラとか布で覆い隠せば高級なんだという乗用車的呪縛から解き放たれました。磁石もひっ付くよ。
【トランスファレバー復活】
ボタン式がダメとは申しません。ランクルのFDスイッチなんて昭和40年代からあったし。
でもJB23W-5型では、ギア比が適正化されながらボタン式となって我々を落胆させたのは事実。ジムニーのファーみたいに操作に力がいらず、少しの高価格化も避けたく、重量増にも敏感であるべきカテゴリーの車には棒っこ方式が良いです。助手席の人にも「これ四駆にいれるレバーだよ」と自慢できるしね。
【全グレードで5MT/トルコンATの選択肢】
高額車はATだけとか、MTは実用グレードだけとか、だいたいね、どこのメーカーもやる勘違い。
内容を知るまではAMTが入ってしまうんではと危惧しておりました。滑れば滑るほどトルク増幅されるトルコンと、滑れば滑るほどロスとなって機構部も磨耗する自動クラッチでは、どちらが用途に適しているか言うまでもなし。ジムニー偉い!!
【ドライブシャフトとデフの強化】
ブレーキLSDを良く効く設定にするため、非常にストレスのかかるデフ、ドライブシャフト(追記:これは推測)が強化されたそうです。
これが何を意味するのか?そんなデバイスなんざぁキャンセルしてやらぁという屈強な貴兄にこそ歓迎される部分。
【全グレード素材色バンパー】
説明無用の嬉しい点。プラに色を塗ることが高級なんだという発想から脱却です。素材感、言い換えればソリッド感、野外道具としてもイカすでしょう? お洒落キャンパーやGO-OUT系のあなたにも共感いただけるはず。
歩行者保護も盛り込んでの設計ですから、鉄パイプ等に交換するのはやめときましょう。
【シエラの細タイヤ化】
年を追うごとに迷走ぶりの目立った登録車モデルは1500ccに拡大したわけですが、それよりもゴム巻きみたいな扁平タイヤから脱したことが喜ぶべき部分。
SUVなどと称してロードゴーイングカー化の一途をたどる国産四輪駆動車の流れに一石を投じることに・・・なると良いんですが。
【新エンジンはロングストローク】
軽のエンジンはすでに定評ある新型に変更。手を尽くしても高回転型の性格を消せなかったK6Aとはオサラバです。
新開発の1500ccは、試乗した山口君曰く「普通の感じ」だそうです。普通でいいのです。
「ラダーフレームでセレクティブで前後リジッドアクスルがセールスポイント」なのはジムニーならアッタリマエです。
とはいえ、開発初期段階ではモノコックSUV変貌案とのせめぎ合いもあったんじゃないかと。もし採用されていたら、落ちぶれた元祖軽四駆の末路として残念な紹介文を書き「赤木君、あのブログは消してくれたまえ、キュリアスは書店から回収だ」と教育的指導を受けていたかもしれません。
関係各位や周囲のマニアの努力により、そうならずに済んだのは、ジムニーに関わる全ての人に幸運なことでした。当たり前なことのありがたさ、これに尽きます。
ちょっと気になる情報としては、山口君から最初に聞いた「ステダン付いてるよ」なんてな話。
もしや持病の対症療法か?と勘ぐるのは早計でしょうか。
ボディデザインの良し悪しは論じません。登場時、あんなに言われたJB23Wのデザインもすっかり目に馴染みました。
新型では意図的にすぎる先祖返りデザインとも思えますが、それ先行というわけでもなく、中身を伴った先祖返りなら大歓迎。
問題はお値段。
各種デバイスや衝突回避ハイテク機器類のために、全てを盛り込んだモデルにオプションをつけるとランクル80STDの新車価格にボロなBJ41を上乗せしたくらいだそうですから、こりゃ参ったなと。
簡素でシンプルなグレードではJB23Wとあまり変わらないそうで、それで十分というか、まだ過剰装備なんですよね。
旧型続投のラダーフレームとなると、サファリの名機Y60からY61への変遷を思い出します。
ジムニーの場合は単純な続投ではなくX型のクロスメンバーと前後クロスメンバーの追加があるようで、それが何を意味するのか?衝突対策なのか走行性能向上のためなのかは未確認です。
XL復活。ランドベンチャーなどは後から追ってくるんでしょう。
せっかくのカラーバリエーションも、メタリックばかり。
6/24追記:すでにかなりの発売前の予約があり、納期が恐ろしいことになりそうです。2代目パジェロ半年待ち、ランクル80が1年待ち、そこまで行かないと良いのですが。